
トレーナーや理学療法士など、人の身体に携わる職業に就いている方、また就きたいと考えている方のなかには、NASM認定資格の取得を検討している方も多いのではないでしょうか。
NASMは世界的にも人気がある、アメリカに拠点を置くパーソナルトレーナーの教育団体です。
この記事では、NASMの基礎知識・認定資格の種類・取得方法を紹介します。NASM認定資格を活かせる職業も紹介しているので、より幅広い活躍をしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
NASMとは?
NASMとは、日本語で「全米スポーツ医学アカデミー」を指します。1987年に設立した、アメリカのアリゾナ州に拠点を置くパーソナルトレーナーの教育団体です。 NASMのメソッド(OPTモデル)は、理学療法士のマイク・クラーク博士により開発されました。
世界中のフィットネスの専門家やトレーナー、医療従事者が、活動の幅を広げるためにNASM認定資格を取得しています。現在では世界95ヶ国でNASMのカリキュラムが提供されており、100ヶ国以上でNASMトレーナーが活躍しています。
NASM認定資格の種類
NASMのおもな認定資格は以下のとおりです。
- NASM-CPT
- NASM-GPTS
- NASM-CES
- NASM-GFS
- NASM-PES
ここからは、それぞれの資格について詳しく解説します。
NASM-CPT
NASM-CPTは、NASMのベースとなるライセンスです。NASM認定資格の取得を考えている方は、まずはNACM-CPTを取得してから、他のご自身に必要なライセンスを取得すると良いでしょう。
NASM-CPT では、NASMのメソッドであるOPTモデルをはじめとした、NASMの考え方や各専門分野に特化した内容を学べます。
NASM-CPTについて学べば、トレーニングする方の年齢や体力など、その方に合ったトレーニングを提供できるようになるでしょう。
NASM-GPTS
NASM-GPTSでは、グループトレーニングとパーソナルトレーニングについて学び、短期間で効果が得られるトレーニングプランの作成スキルを身につけます。
また、トレーニング参加者との良好なコミュニケーションを取れる能力や、参加者のモチベーションを上げるコーチングスキルも磨けるでしょう。
トレーナーの戦略的ビジネスプランについて学べるのも大きなポイントです。パーソナルトレーナーとしてだけでなく、複数の参加者の指導を考えている方、将来独立したいと考えている方におすすめの資格です。
NASM-CES
NASM-CESでは、解剖学・運動学・バイオメカニスクといった人間の体についての知識を深められます。
クライアントに対して、怪我のリスクを低減させたり、身体を動かす機能全体の質を向上させたりする能力が身につきます。
また、身体の機能改善のためのエクササイズである「コレクティブ・エクササイズ」を学べるのもポイントです。クライアントの身体の柔軟性・筋肉の活性化・関節の安定性・筋肉の不均衡を改善へと導けるようになります。
NASM-CESは、パーソナルトレーナーだけでなく、理学療法士やフィットネスコーチなどが多く取得している資格です。
NASM-GFS
NASM-GFSでは、ゴルファーのコンディション作りについて学べます。ゴルフは旋回をともなう動作が必須で、筋力や柔軟性が必要となるスポーツです。一般のプレイヤーが多く人気のスポーツですが、ケガをする方も少なくありません。
NASM-GFSでは、ゴルフをするのに最適な柔軟性・体幹・バランス・レジスタンス・心拍系を得るトレーニングや、プログラムデザインを学べます。
資格を取得すれば、プロゴルファーだけでなく、さまざまな年齢のアマチュアゴルファーのパフォーマンスを向上させられるようになるでしょう。
NASM-PES
NASM-PESは、パフォーマンス向上のスペシャリストになれる資格です。筋肉の連動をはじめとした動作のしくみや機能を理解することで、運動をおこなう際のケガのリスクを軽減します。
またNASM-PESで得られる知識は、日常生活の動きを楽にするための指導を可能にします。一人ひとりの事情に合った適切なメニューを組み立てられるようになるので、クライアントの持つ悩みを解決しやすくなるでしょう。
NASM-PESは、パーソナルトレーナーや理学療法士、鍼灸師、柔道整復師などが取得する場合が多いです。
NASM認定資格の難易度
NASM認定資格の合格率は非公表ですが、難易度はそれほど高くないといわれています。試験とオンライン学習がセットとなっているため、しっかり学習できていれば、合格は難しくないでしょう。
ただしNASMを受けるには、それぞれの資格の受験資格を満たす必要があります。以下は、それぞれの認定資格の合格点数と受験資格をまとめた表です。
資格名 |
合格基準 |
受験資格 |
NASM-CPT |
100問中70点以上 |
- CPR(心肺蘇生法)のライセンス取得者
- 18歳以上
- 高校卒業以上
|
NASM-CES |
100問中70点以上 |
- NASM-CPT取得者
- 4年制大学学位
- 米国NCCA、NBFE、DETCにより認定された団体の資格保有者(必須ではないがいずれかひとつ持っていることが推奨されている)
|
NASM-GFS |
50問中35点以上 |
|
NASM-GPTS |
100問中70点以上 |
|
NASM-PES |
100問中70点以上 |
- 4年制大学(学部問わず)、日本のスポーツトレーナー系・医療系専門学校の既卒者、およびその卒業見込み者
- アメリカの体育系団体、NCAA・NBFE・DETCが認定する団体の資格保有者
- R-Conditioning Coach認定者
|
それぞれの資格には受験資格があります。必須ではない場合もありますが、申込む際にはご自身が該当しているかをチェックしましょう。
NASM認定資格を取得するまでの流れ

NASM認定資格を取得するまでの流れは以下になります。
資格名 |
資格取得までの流れ |
NASM-CPT |
- セルフスタディを購入する
- セルフスタディ教材で学習をおこなう
- 受験予約をする
- テスト会場にて試験を受ける
- テスト終了後、画面に合否が表示される
- 試験のスコアレポート(試験終了書など)を受け取る
- 後日合格者には認定証が発行される
|
NASM-CES |
NASM-GFS |
NASM-GPTS |
NASM-PES |
- NASM-PES Online資格取得コースを申込む
- オンライン学習をおこなう
- オンラインで試験を受ける
- 試験後その場で合否がわかる
- オンライン上で認定証の取得が可能(ダウンロード可能)
|
オンライン学習を受け、受験するまでの期間は1年間です。NASM-CPT・NASM-CES・
NACM-GFS・NACM-GPTSが不合格だった場合には、料金を支払えば再試験を受けられます。
NASM-PESは、再試験料なしで3回まで受験が可能です。3回を超えた場合には、料金を支払えば再度3回試験が受けられます。
NASM認定資格の受講料・更新料
NASM認定資格の受講料は以下のとおりです(すべて税込み表記)。
資格名 |
教材・試験 |
更新料 |
再試験 |
NASM-CPT |
63,800円(会員:57,420円) |
13,200円(2年ごと) |
55,00円 |
NASM-CES |
63,800円(会員:57,420円) |
なし |
55,00円 |
NASM-GFS |
22,000円(会員:19,800円) |
なし |
55,00円 |
NASM-GPTS |
41,800円(会員:37,620円) |
なし |
55,00円 |
NASM-PES |
132,000円(学生:92,400円)
(R-BodyACADEMY受講者割引:92,400円) |
なし |
3回不合格の場合には、99ドルで1年間の期間延長、3回受験が可能となる |
NASM-CPTは、2年ごとの更新が必要となりますが、それ以外の資格には有効期限がなく、更新は必要ありません。
NASM認定資格を取得するメリット
NASM認定試験を取得するメリットは、クライアントがプロでも一般の方でも幅広く指導できる能力が身につくことです。
クライアントの運動不足や加齢による身体能力の低下、姿勢の悪さなどを矯正しつつ、安全なトレーニングの指導ができるようになるでしょう。
また資格を持っていることで、クライアントから正しい知識をもっていると認識され、信頼される可能性が高くなります。就職先へのアピール材料にもなるので、キャリア形成にも有利といえるでしょう。
NASM認定資格取得後に活かせる4つの職業
NASM認定資格取得後に活かせる職業には、以下のようなものがあります。
- パーソナルトレーナー
- 理学療法士
- 鍼灸師
- 柔道整復師
それぞれの職業について詳しく解説します。
パーソナルトレーナー
パーソナルトレーナーは、クライアントに対しマンツーマンで指導をおこなうスポーツトレーナーです。クライアントの掲げる目標を達成するために、トレーニングだけでなく食事指導、ライフスタイルの提案もおこないます。
クライアントはプロスポーツ選手から一般の方まで幅広く、勤務場所はパーソナルジム・フィットネスクラブ・レンタルジム・接骨院・自宅・クライアントの自宅とさまざまです。
NASMを取得すれば、正しい知識のもとでクライアントへの指導ができます。またクライアントのパフォーマンスが向上するよう導けるようにもなるでしょう。
理学療法士
理学療法士とは、リハビリテーションの専門職です。ケガや病気で身体に障害がある方や、これから障害があらわれそうな方に向け、立つ・歩く・座るなど生活に必要な基本的な動作能力の回復・維持をするための支援をおこないます。
理学療法士になるには、国家資格である理学療法士免許を取得する必要があります。病院やクリニック、介護保険関連施設で働く場合が多いですが、NASMを取得すればより深く身体に関する知識を得られ、適切な支援ができるようになるでしょう。
鍼灸師
鍼灸師とは、鍼や灸を使い、病気の予防や健康回復を目的に治療をおこなう職業です。鍼灸師になるには、はり師ときゅう師、それぞれの国家資格を取得する必要があります。
鍼は、ツボや皮膚、筋肉に鍼で刺激を与え、痛みの緩和やコリを改善に導きます。また灸は、よもぎを乾燥させた艾(もぐさ)を使い、ツボや冷えている箇所に温熱刺激を与えて体の不調を回復へと促す治療法です。
鍼灸師は、鍼灸院やスポーツ施設、医療・介護・福祉施設などで活躍しています。NASMの資格を取得すれば、クライアントの生活に寄り添ったより良いアドバイスができるようになるでしょう。
柔道整復師
柔道整復師とは、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などの治療をおこなう専門家で、投薬や手術などの方法ではなく、患者の身体の状態を把握して手技により正常な状態に戻します。
そのほかの柔道整復師がおこなう治療は、ギプスやテーピングを使った固定、マッサージや手技療法・運動療法・温熱などをつかったリハビリテーションなどです。
柔道整復師になるには、国家資格を取得する必要があります。医療施設や介護施設、スポーツ施設やスポーツジムのトレーナーとして活躍する場合が多いです。
NASMの資格を取得すれば、患者により良い身体の動かし方を指導できるようになるので、スポーツ現場でも活躍しやすくなるでしょう。
まとめ
NASMとは、アメリカに拠点を置くパーソナルトレーナーの教育団体です。認定資格には、NASMのベースとなるNASM-CPTをはじめとした、さまざまな資格が用意されています。
資格を取得するなら、まずはNASM-CPTを取得し、そのあとにご自身の専門分野に合った資格を取得すると良いでしょう。
NASM認定資格の取得には、オンライン学習を受講してから、試験を受ける必要があります。
NASM認定資格は、パーソナルトレーナーや理学療法士、鍼灸師、柔道整復師などスポーツや医療に関係する職業で活かせるでしょう。キャリアアップや幅広い活動を目指している方は、NASM認定資格の取得をおすすめします。
まずはASPトレーナースクールの無料体験授業を受講してみよう
パーソナルトレーナー専門の養成スクール「ASPトレーナースクール」では、さまざまな国際認証資格の取得が目指せます。
ASPトレーナースクールは国内初のNASM-CPT正規代理店スクールで、専用のカリキュラムをご用意しています。NASM-CPTはNCCA(国家認証機関委員)によって米国内でも最高水準にランク付けされており、パーソナルトレーナーとしてスキルアップを目指す方にぴったりの資格です。
パーソナルトレーナーとして、専門的な知識の習得や資格取得を目指す方は、ASPトレーナースクールの無料体験授業を受講してみてはいかがでしょうか。
無料体験授業のお申込みはこちら